【芋井保健だより】春の健康管理~心の健康~

 つらい花粉の時期も過ぎ、芋井でもいよいよ桜の時期が始まろうとしています。日に日に暖かくなってきて、農作業を再開した方も多いのではないでしょうか。

 春の訪れに期待を膨らませる一方、この時期は、実は自殺の多い時期でもあります。3月は自殺対策強化月間として、全国で様々な取り組みが行われました。

 月間が終わっていますが、自殺予防は1年を通して大切です。なぜこの時期に自殺が増えるのか、またその予防について特集します。

○春は自殺が多い?

 自殺はどの時期も同じだけ発生しているわけではありません。グラフを見ると、11月~2月は少なく、3~5月は増加していることがわかります。

 

 春は1年の中で転勤、卒業、引越し・・と、最も環境の変化が起こる時期です。その変化によるストレスが、主な原因と考えられています。

○ストレスがなぜ自殺につながるの?

 ストレスが自殺に直結するわけではありません。私たちは日々様々なストレスにさらされています。しかし、「ストレス・コーピング」(ストレス対処法)を行ってストレスの軽減を図っているのです。

 例えば、この時期よく耳にする「5月病」ですが、多くの場合症状は一過性で、環境に慣れることで改善してきます。この、「環境に慣れる」までの間に、ゆっくり休む、気分転換に出かける、親しい人に相談する、といった、それぞれ自分に合ったストレス・コーピングを行い、症状の悪化を防いでいます。

 しかし、ストレスにうまく対処できない、又は対処する能力を超えたストレスが加わることで、最初は軽かった気分の落ち込み、身体的な疲れなどが、うつ病へと進行していくのです。

 このうつ病をはじめとする精神疾患が、自殺の大きな原因の一つとなっています。

 自殺を企図し救急施設に運ばれたものに対する調査によると、自殺をしようとした者の75%に精神疾患がありました。また、そのうち約半数がうつ病等、次いで統合失調症等でした。

○自殺を予防するには?

 ここまで見てきたように、うつ病を予防すること、悪化させないことが、自殺に対する一番の予防法と考えられます。

<自分でできるストレス・コーピング>

ストレス・コーピングには様々な方法があります。

①問題を解決するための行動を起こす

(問題点を明確にする、問題についてさらに深く調べる、様々な解決方法を試す、など)

②今の状況をいい方向に考えてみる。

(直面している問題について良い点を挙げてみる、直面している問題について第三者の見方を取り入れる、など)

③周囲の協力を得る。

(知人、同僚、上司に相談する、家族の協力を求める、専門家に意見を聞く、など)

④気晴らしや現実逃避をする。

(旅行に出かける、「重要なことではない」と自分に言いきかせる、趣味に没頭する、など)

一番勧められているのは①ですが、常に最適なわけではありません。コーピングの幅を広げ、どういう場合にどんな対処法が一番いいのか、色々試してみましょう。

<周りの人に気づいてもらいたいこと>

うつ病になっている場合、本人が自覚していないことも多くあります。

①不眠が2週間以上続いている②体調不良の訴えが増えた③仕事の能率が下がったりミスが増えたりする④食事をあまり摂っていない⑤趣味の時間が減った

以上のような変化があった場合は、うつ病の可能性があります。迷わずに声をかけ、専門機関・医療機関への相談を勧めましょう。

季節の変わり目で体調も崩しやすいこの時期、無理せずゆっくり休みましょう!

<参考>ストレス・うつチェックリスト、相談機関なども掲載されています!

内閣府HP(共生社会政策-自殺対策) 

http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/

こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト~心の健康確保と自殺や過労死などの予防~

http://kokoro.mhlw.go.jp/

長野県自殺予防情報センター http://www.pref.nagano.lg.jp/xeisei/withyou/hp_jisatsuyobou/top.html/